『売れ続ける理由』
佐藤啓二

うごかす書庫へ

「USP」とは頭をひねって絞り出すものではなく、
もうずっと前からあなたと一緒にあるもの。
「あなたの全部が詰まっているもの」、
心こそが最高のUSP。


「USP」というマーケティング用語があります。
Unique Selling Propositionの略で、
日本語で簡単に表現すると商品における「独自の売り」のことで、
マーケティング・コンセプトの軸となるキーワードともなります。

ズバリ言うと、
この素晴らしい本をこういうタイトル、帯で出しちゃう出版社は、
まさにマーケティングかぶれ、NOセンス、と思ってしまいます。

仙台の山奥に「主婦の店・さいち」という小さなスーパーがあります。
家族経営の過疎地の店に、なぜこれほど注目が集まるのか？
それは、拡大＝成功、効率＝最良、とする
ここ数十年のビジネススタイルの真逆の成功例があるからです。
詳細はぜひとも本書をお読み頂いてと思いますが、
さいちの名を知らしめたのは表紙にも写されている
１日５０００個以上を販売する「秋保おはぎ」。

社長の佐藤啓二さんはこの本のなかで、
自社の商品を「心の入った物」とおっしゃっています。
さいちの数々のヒット商品には、
同業他社ではなく「家庭の味こそがライバル」という、
佐藤さんの「祈り」のような心が丹念に練りこまれています。
そこに上っ面のテクニックや、効率重視の虚偽やはしょり、
売れる＝正義という俗なマーケティングの入り込む隙はありません。
心こそが最高のUSP。
そう心から感じざるをえない一冊です。
もし自分の扱っている商品・サービスについて迷うことがあれば、
ぜひこの本を手に取ってみて下さい。
余談ですが、 USPといえばでいつも思い出す話があります。
『お金でなく、人のご縁ででっかく生きろ！』の中村 文昭さんの
お師匠さんこと田端 俊久さんの言葉です。
その波乱万丈の人生のなかで、いくつもの会社を興してこられた
田端さんの絶対的な成功の秘訣は...
「自分の全部がつまっていること」だそうです。
「これまでの自分」を全部、自分の活動や仕事に反映させ、 溶け込ませること。それこそ、唯一あなたにしかできないこと。 絶対に誰にも真似できないこと。 USPは頭をひねってしぼりだすものではなく、 ニッチからひっぱりだしてくるものでもなく、 もうずっと前からあなたと一緒にいます。


本の状態　★★★★☆　4.0点　
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帯　　　　　　　　　　あり
状態値引　　　　　　　なし
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